2012年01月13日

「深呼吸する惑星」1〜4周

第三舞台封印解除そして解散公演、結局4回行きました。
感想か? 長いぞ。折り畳むこととする。


舞台が暗くなる。音楽が始まる。舞台上が明るくなる。舞台上の7人の役者、音楽に合わせたダンス。スローな、だが音楽に合わせた、的確に訓練された動き。必ずしも完璧に揃っているわけではないが、客席の視線をぐんぐん惹き付ける。観客を第三舞台の世界へと誘う。いつものように。

唐突にダンスが終わる。5人が退場し、2人が舞台上に残る。すぐに4人が舞台の上に戻ってきて、6人での会話が始まる。全員が喪服を着ている。駅から遠いという葬式の会場から、タクシーを乗り合おうという人々、歩いて帰るという人、そして迎えの車が来る事になっているのでそこで待つという人々。迎えの車を待つという2人だけが残される。同じ会社に務める2人。この葬式には「取引先の部長の子供が亡くなったから」故人と面識もないのに来る事になったという。
迎えの車は渋滞でなかなか到着しない。待ち時間に二人はそれぞれ携帯を取り出して何やら始める。
「亡くなった部長の息子さんって、ブログとかやってたんですかね? 死んだ人のブログはずっと残るんですかね?」
「これ(といって自分の携帯画面を相手に見せる)、ずっと更新が止まってるから、多分もう死んだ人のサイトなんだ。SF小説が書かれてるんだ」
「へえ、どんな内容なんです?」
「書き出しは『遥か遠い未来、遠い銀河の果てに、「希望」という名の惑星があった』――」

暗転。
青い髪の若者が椅子に座ってうたた寝をしている。
青い顔色をした男が荒々しく登場して、若者を起こす。
続いて同じく青い顔色をした男が現われる。後から現われた男はこの惑星の首相で、青い髪の若者・ギンガは3ヶ月の臨時雇用中の首相の車の運転手だ。
首相は若者に尋ねる。
「寝ていたんですか?」
「はい。夢を見ていました」
「どんな?」
「葬式の会場で、終わったあとに、男性がSF小説を読み始めるんです」
「ほほう、それで?」
「そこで起こされました」


というのがこの舞台の冒頭です。
自分用メモからの抜き書きなので多分セリフとか細かいところ違ってますが、大体こんな感じです。
ギンガは地球人とアルテア人(顔色が青い)の混血で、髪は青いけど肌は地球の日本人と同じ色です。

その後は、アルテアの星で物語が進みます。アルテアの星は地球の支配下に置かれ、かつて地球の支配を良しとしない人達によるレジスタンス(抵抗運動)があり、それなりの犠牲も払っていたのですが、今はそれも昔の話。今ではほとんどのアルテア人が地球の支配や文化を受け入れ、むしろ地球の文化を積極的に受け入れている新地球派のアルテア人も珍しくない状態。
表向きは平和な状態が60年続いている。

そこに地球からやってきた軍部の研究員。目的はアルテアに派遣された地球人兵士の自殺を止める事。
アルテア人やアルテアと地球人のハーフたちは自殺率が低いのだが、地球人だけがアルテアに於いて自殺率が高く、軍部でも問題視されているのだ。

その一方、アルテアの独立運動を続けているものもいた。
ただ、その運動をしているのはたった一人だけ。たまに街中に現われて独立を促すビラをばらまいたりする程度で、地球軍部からも全く問題視されていなかった。

あらすじを書いて来ましたけど、このまま最後まで書くと終わらないので、一旦この辺りで切り上げます。

このお話はSFの体裁を取っていて、地球に支配されている惑星の過去と現在、独立を画策するごく少数のレジスタンス、地球とのよい関係を持続したいアルテアの行政トップ、アルテアの扱いを考え直す必要に迫られ、アルテアでの地球人兵士自殺の原因を突き止めようとする地球政府、若い頃にやったやんちゃのために出世コースから外され辺境の惑星をたらい回し勤務させられている地球軍の軍人、アルテアと地球人の混血として生まれ、自分の人生をどうすべきか分からないでいる若者、元レジスタンス現結婚詐欺師など色々な話が絡み合い、伏線となって、クライマックスに持ち込まれます。

しかし主人公は、つまり主演は、筧利夫さん演じる記憶を失った男でしょう。
記憶を失い、拾ってくれたアルテア人の元で、60年前のアルテア独立戦争のことを学び、そして今は唯一となってしまったアルテア人独立運動の活動家として地下活動をしています。

が、生粋のアルテア人であるアルテアの首相は、彼に、君はアルテア人ではない、と断言する。

アルテア人は地球人とは違う外見を持っているのですが(といっても肌の色が青いだけ)、彼の外見は地球人。といっても外科手術で地球人と同じ外見になることも出来るので、地球人のように見えても、アルテア人の可能性もあるわけです。

どちらにせよ彼は記憶喪失なのでそれに明確に反論することは出来ない。

やっぱり長くなってしまった。しかも結局あらすじ書いてる!
はしょらないと書き終わらないぞ!
人間関係もキャストの数が少ない割には複雑なのでとても説明しきれない。

キーポイントはインターネットにまつわる部分で、まず第一には、インターネットで一度書き込まれた情報は、取り消したり削除したりすることが出来ない。
若気の至りで犯した過ちは20年経っても男に烙印を押し続け、彼は流浪の生活を送る事になり、そして辿り着いた惑星で、彼の過ちで死に至った旧友の姿を見るのだ。
20年前の若いままの旧友の姿が、彼の犯した罪以上に彼に問いかけることは、「結局お前はなにものにもなれなかったのか」ということ。鏡をみれば20歳の親友と40になってしまった自分の姿が見える。
そして彼は記憶を失う。
失ったあとに彼に残ったのは自身のルーツに対する強い欲望だった。記憶ないのに。

SFというのは現代社会の批判表現としてのツールだという考え方でいうと、この物語には現代の日本、そして世界が抱えている問題の戯画化があちらこちらに散りばめられている。
沖縄の米軍基地の問題のようでもあるし、今でも世界のどこかで繰り広げられている独立戦争の話のようでもある。
同時にこの話は中年の危機というジャンルの筋を持っていて、それはまあSF以外でも色々と描かれているモティーフではあるけど、この話の中での扱いがまた強烈だ。
自分の過ちを体現したような、しかもリアルな幻覚が、目の前に現われる。そりゃ自殺者も増えるわけだ。

この物語は「本人が死んでもネット上に残り続ける故人のライフログ」というテーマも扱っている。
私はメインサイトは独自ドメインに有料サーバなので、死んで利用料が支払われなくなったらそれらは消滅する。
でもこのブログは無料サービスなので、シーサーがサービスをやめないかぎりネット上に残ることになるね。

私はmixiだけでもすでにマイミク二人が故人になっている。
だからこの話、特に冒頭は私には重かった。
どうしても一昨年なくなった友人のことと重ねてしまう。この物語と違い、自殺ではなくて病死(しかも突然死)だったのだけど。
今でもmixiに彼らのページが残っているし、片方の人に関してはブログも残っている。
それどころか、Secondlife内にシムオーナーが好意で残している彼の店もある。

mixiに、Twitterに、Secondlifeに、あらゆるところに主が亡くなっているアカウントがあると思うんだよね。
それに対する気構え方を、私は未だに計りかねている。

どうしてもまとまりのない文章になっちゃったんですけど、日曜日にライブビューイングで大千秋楽を見たら、また色々書こうと思います。もっと細かい事とか、ネタバレなこととか。
posted by たじまさん at 23:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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